[雑記]映画を観たこと

甥っ子の誕生日プレゼントを買いにイオンへ。

その足で「モアナと伝説の海」を観に行った。

写真は先着限定のクリアファイルである。

いかにも若い女性が観てきた風に写真を加工した。理由はない。

映画館で映画を観たのは、じつに1ヶ月ぶりのことだ。

3Dアニメ映画(僕の好きなジャンル)に限ると、12月に観た

「コウノトリ大作戦」が最後なので、およそ3ヶ月ぶりとなる。

視界の全てを支配するスクリーン。左右からぶっ放される大音量……。

やっぱり、映画館で映画を観るのは良い……。

「モアナと伝説の海」は、自由を掴む勇気の大切さを教えてくれる映画だった。

子供には良い情操教育になり、大人には忘れてた感情を思い出させてくれる。

そんな映画なんじゃないかなあと、僕は観てて思った。

以下、ネタバレ・憶測が多いので閲覧注意です。

「モアナと伝説の海」は、前作「ズートピア」とは一線を画す。

…というより、「ズートピア」の方がディズニーの中では異色に当たると思う。

主観で線引きすれば、モアナの構造は「ラプンツェル」や「アナ雪」に近い。

設定や世界観は意欲的だが、全体の構造はどちらかというと王道的な、

昔ながらのディズニーのミュージカルスタイルだと自分は感じた。

ここ数年続くヒロインの傾向と同じく、モアナも「強い女性」だが、

『カッコイイ』とまで思わせてくれたのは久しぶりのことだった。

特に最後の表情。多くを語らず、顔で語る。痺れた。

彼女には、解決することの出来ない問題(ジレンマ)がそんなにない。

たとえばズートピアの「種族の壁」だったり、シュガー・ラッシュの「バグ」

のような問題。「どうしようもない現実」の中で「生きざるを得ない」と考えて

生きているように――多分意図的に――濃密には描かれていない。

最初に発覚する彼女の問題は「父親との価値観の違い」だ。

たとえば「ヒックとドラゴン」では三幕を通して「父親との価値観の違い」が段階的に描かれて収束していくが、モアナの場合はすぐに問題が収束してしまう。主要な描写は5分程度だったと言っていいかもしれない。親子問題の殆どは、ミュージカルパートの中で状況説明が完結している。

一幕の終わりぐらいで、モアナは父親の反対を押し切り強引に海へと出てしまう。この時点で「親子の対立」の問題は終結する。映画は序盤でこの問題に答えを出したのだ。

「自分の考えを信じて、通すしかない」と。

その後も第二・第三と、目標を達成できないジレンマが発生するが

彼女は問題と対峙し、道を阻まれても「諦める」ほどには絶望しない。

挫けそうになるところは1シーンあったが、そのシーンでも

過去作品に比べればあっさりと問題を受け止め、乗り越える。

このジレンマの薄さは何なのか、と考えると

作り手が「モアナを神格化(英雄化)したかったのではないか」と思える。

完全無欠の女性であるように、あえて持っていっている感じがするのだ。

何故、作り手は彼女自身を神格化(英雄化)したかったのかと考えると

この映画が訴えたいテーマに繋がってくるのではないだろうか。

自由を掴む勇気

自由とは、必ずしも素晴らしい結果をもたらすものとは限らない。

更に、自由と引き換えに失うものが結構あることも覚悟せねばならない。

バイトにたとえると分かりやすいかもしれない。

バイトを辞めたら自由だけど、失うものが結構ある。

収入、仲間、(辞め方によっては)人としての信用、等々…結構ある。

失うものが結構あるから、悩む。

それらを捨ててでも掴み取る価値が、その自由にはあるのかと悩む。

皆さんは今あるしがらみを全部捨てて、自由になりたいと思いますか。

僕は自由になりたくないと思ってます。

今僕の周りにある「しがらみともなるもの」を僕は気に入ってて、他人から見たら

窮屈に見えることもあるかもだけど、少なくとも僕は、僕なりに幸せを感じてて。

だから自由にはなりたくない。むしろ現状のしがらみを維持出来るならしたい。

こんな僕のようなのは、きっと偉大じゃないんだと思う。

…ここでふと、ミスチルのHEROって曲の歌詞を思い出す。

たとえば誰か一人の命と引き換えに世界を救えるとして

僕は誰かが名乗り出るのを待っているだけの男だ

僕も、誰かが名乗り出るのを待ってるタイプの人間だろう。

モアナは世界(村)を救おうと名乗り出た女性だった。(ようやく本題に戻った)

自由を掴み取ることは、勇気がいることだ。

自由を掴む勇気を持つことは、強くなければ出来ない。

それが出来る類稀な人間は、偉大な英雄と評されて然るべきなのかもしれない。

・・・

自由を掴み取り村を救ったモアナは、物語を通して英雄となった。

だからこそラストシーンの表情に、自分は安心感に似た感情を得たのだと思う。

エンディングを迎えた後にも続く村の歴史は、これからもこの偉大な英雄によって

守られていくに違いない。そんな予感めいたものを覚える、素敵な幕引きだった。

「人間らしさに欠ける」と感じる人もいるかもしれない(その意見も分かる)

しかし全体の想い(自由を掴む勇気の偉大さ、素晴らしさ)を伝えるために、

主人公に籠めた作り手の狙いだったのかも……なんて邪推してみると、なんだか

神話的でこれもいいなぁと思えてくる。

総じて、モアナは自由を掴む勇気の物語だなぁ、と思う。

そういう意味で、今回は冒頭の短編フィルムと本編のテーマが

リンクしていたようにも感じられた。

完全無欠の英雄モアナ。かっこよかった~。

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